1990年、アップル製PC「マッキントッシュ」版のCAMソフトウェアにて、マウス操作を取り入れたCAMの開発・普及に先駆的に携わる。以降、2次元から3次元CAMまで、多くのCAD/CAMソフトの開発および販売に携わり、金型加工や部品加工、多軸加工など、幅広い製造分野に精通。
ポストプロセッサ/加工シミュレーションに加え、切削加工現場のデータ通信システムにも精通。過去には職業訓練校の臨時特別講師を務め、現在も全国のCAMユーザーを技術支援・運用改善でサポート。
最終更新日:2025.11.12 / 公開日:2020.10.28
CAM(割出5軸加工)
・2025年12月18日(木) 10:30~12:00
CAM(2軸旋盤加工)
・2025年12月18日(木) 14:00~15:30
CAM(3D加工)
・2026年 1月15日(木) 10:30~12:00
CAD(スケッチ~モデル・図面作成)
・2026年 1月15日(木) 14:00~15:30
詳細は下記よりご確認ください
スカルプトモード(フォーム)とは、3DCADなどで自由曲面を作成する際に用いるモードです。スカルプト自体は「彫刻」という意味ですが、「粘土をこねるようにモデリングができる」と表現されることもあります。それだけ自由度の高いモデリングができる、という解釈で間違いありません。Autodesk Fusion(Fusion360)にも搭載されているので、ぜひ使いこなしましょう。
今回は、Autodesk Fusion(Fusion360)搭載のスカルプトモードの基本操作やモデリングの手順・方法、使用する際の注意点などをご紹介します。

まずは、Autodesk Fusion(Fusion360)に搭載されているスカルプトモードの特徴や基本的な使い方について解説します。
Autodesk Fusion(Fusion360)のスカルプトモードでは、Tスプラインというオブジェクトを使いモデリングを行います。作成されるのはサーフェイスモデリング(表面のみを定義した3次元構造のモデリング体系)で、形状がスムーズで滑らかになる処理が施されるのが特徴です。
スカルプトモードを使用すると、さまざまな形状を簡単に作れます。
このような、曲面の多い工業製品はスカルプトモードの得意分野です。使いこなせるようになると、より複雑な形状のモデリングもできるようになります。
一方、きっちりと寸法が決められていたり、直線的なデザインだったりするものはスカルプトモードには向きません。また、3次元構造を線で表すワイヤーフレームモデルや、中身のあるソリッドモデルなどを作るのにも向いているとは言えないでしょう。
次に、Autodesk Fusion(Fusion360)におけるスカルプトモードの基本的な使い方の手順をご紹介します。
まずは「ツールバー」の「シートメタル」タブ内にある紫色の立方体のマークをクリックします。なお、マウスオーバーで「フォームを作成」と表示されるのを確認してください。これで、スカルプトモードでモデリングをするための作業スペースに移動したことになります。
ツールバーにはいくつかの立方体等が並んでいます。
上記のなかから、これから作る形状の基本となるものを選びましょう。
前項で選んだ基本形状を作成する面を選びます。縦に置きたいのならX軸、横に寝かせたいのならYもしくZ軸といった具体に、選択してください。その後、中心点(原点)と寸法を決めたら、画面上に形状が描写されます。
ツールバーの中の「フォームを編集」の下部にある「修正」をクリックすると、フォーム修正のコマンド一覧が表示されます。
たとえばこのなかにある「フォームを編集」を選ぶと、作成した基本形状の面や線、点をマウスのドラッグで調整できるようになります。まさに粘土のように自在に形状を変化できます。
そのほかにも、エッジを挿入やブリッジ、折り目など、さまざまな修正コマンドがあります。
また、面をダブルクリックすると全体選択になります。そのほか、マニピュレータで移動・回転・スケールも可能です。
ここからは、より具体的なスカルプトモードの使い方を解説していきます。例題として、今回はスプーンのモデリングにチャレンジしていきます。
まずはスプーンの基になる「平面」を作ります。前述の操作に従い、「平面」というフォームを作成してください。寸法については任意ですが、今回は左右対称が望ましいので、「対称」を「ミラー」に設定します。
「平面」は長方形になっており、角が尖っています。まずはこの角を取るために、修正コマンドの「折り目解除」で4つの角を対象として丸めます。
持ち手部分と先端部分の大まかな形を整えます。修正コマンドの「フォームを編集」を使って、持ち手は細く、サジは太く丸く変形させます。また、持ち手を少し上方向に持ち上げるようにしました。
現状のサジは真っ直ぐな板の状態なので、ここにくぼみを付けます。修正コマンドの「エッジを挿入」を使い、その中央ポイントを掴んで下方向に下げると、サジができました。
このままだとペラペラのスプーンなので「平面」に厚みをつけます。修正コマンドの「厚み」でスプーン全体を選択し、数ミリ程度上方向に持ち上げると厚みが出ます。
これで、スカルプトモードを使った一連のモデリングは完成です。なお実際には、この後にモデルモードでもう少し丸みを付けるなどして仕上げになります。
スカルプトモードを使用する際には、以下のようなポイントに注意しましょう。
スカルプトモードは自由度が高い分、操作次第で形状に歪みなどが発生しがちです。そこで注意したいのが「面の数・位置」です。
面の数や位置がずれると、形状の崩れにつながります。そのままだと面のねじれや自己交差などのエラーの原因になることも。スカルプトモードで作業をするときは、面の数および適切な位置を小まめにチェックしてください。
スカルプトモードでモデリングを行う場合、中心点がピボットポイントになるのが通常です。しかし、そのままだと操作に難があるケースも少なくありません。こうした際は、「ピボット設定」で位置を変更しましょう。なお、変更後は必ず「完了」ボタンをクリックして、設定を適用してください。
スカルプトモードは自由度が高く、非常に便利な機能です。しかし、ソフトウェアを業務レベルで使いこなすのは容易とは言えません。
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