PRODUCT製品紹介:Autodesk Fusion(Fusion360)コラム記事

Autodesk Fusion (Fusion360)のCAE解析とは?特徴や使い方、仮想実験できる便利な機能をご紹介

最終更新日:2024.07.03 / 公開日:2020.11.06

FusionのCAE解析とは、3DCADで作成したモデルの設計が実際の条件に適応するか否かを仮想的に実験できる機能です。荷重や固定などの条件を設定し、仮想モデルにどのような影響が出るか検証します。たとえば、4本足の椅子に上から人間相当の荷重がかかっても問題ないか、といった解析をAutodesk Fusion (Fusion360)上で実行できます。

顧客の手元に届く製品は、安全性が確保されていなければなりません。その確認として重要な作業がシミュレーションです。

試作品を用いた物理シミュレーションは確実な方法です。しかし、手間やコストがかかってしまいます。そんな際に活用したいのが、CAD/CAMのシミュレーション機能です。あくまでソフトウェア上の仮想シミュレートではありますが、作業の効率化には大いに役立つでしょう。

こちらでは、Autodesk Fusion (Fusion360)のシミュレーション機能の使い方や特徴について解説します。

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Autodesk Fusion (Fusion360)の
CAE解析とは?

Autodesk Fusion(Fusion360)とは

Autodesk Fusionは、米国のオートデスク社(Autodesk, Inc.)が提供する、クラウドベースの統合設計ソフトウェアです。 CAD(コンピュータ支援設計)、CAM(コンピュータ支援製造)、そしてCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)の機能を一つのプラットフォームに統合しており、製品設計から製造までの一連のプロセスをシームレスにサポートしてくれます。

パラメトリックモデリング、自由形状モデリング、アセンブリ、シミュレーション、レンダリングなど、多岐にわたる機能を提供し、設計者やエンジニアが高品質な製品を迅速に開発することを可能にしてくれます。

最大の特徴は、クラウドベースのアーキテクチャである点です。ユーザーは、インターネットに接続されている限り、どこからでもアクセス可能で、複数のチームメンバーとリアルタイムでコラボレーションできます。 また、クラウドストレージを活用することで、大量の設計データを安全に保存・共有できる点も魅力です。

CAE解析とは

CADにおけるシミュレーションとは、構造解析に使用する機能のことです。「CAE(Computer Aided Engineering)」とも呼ばれます。なお、一般的にCADソフトとCAEソフトは別になっていますが、Autodesk Fusion (Fusion360)は一体型で提供されています。

Autodesk Fusion (Fusion360)のシミュレーションでは、3DCADで作成したモデルの設計が実際の条件に適応するか否かを仮想的に実験できます。荷重や固定などの条件を設定し、仮想モデルにどのような影響が出るか検証します。例えば、4本足の椅子に上から人間相当の荷重がかかっても問題ないか、といった解析をAutodesk Fusion (Fusion360)上で実行できます。

シミュレーションの重要性

ものづくりを行う上で、顧客が求めるもの、使いやすいものを作ること以上に大切なのが、壊れないものや安全なものを作ることです。製品が市場に展開されてから安全上の欠陥が見つかると、問題の収束が難しくなってしまう場合があります。

そこで、開発段階で製品の安全を高めるために用いられるのがシミュレーションです。また、開発途中の製品の不具合を発見し、改善に役立てるという意味で必要不可欠な工程となっています。

Autodesk Fusion(Fusion360)のCAE解析の特徴

Autodesk Fusion(Fusion360)のCAE解析には、「CADとCAE解析機能が一体化されている」「解析機能が豊富」「インターフェースが使いやすい」という3つの特徴があります。

CADとCAE解析機能が一体化されている

Autodesk Fusion(Fusion360)は、CAD(コンピュータ支援設計)とCAE(コンピュータ支援エンジニアリング)解析機能が一体化されたソフトウェアです。 統合されていることで、設計と解析の間でデータの変換や移行が不要になり、作業効率が大幅に向上します。 設計者やエンジニアは、CADモデルを直接CAE解析に利用できるため、設計プロセスをシームレスに進行させられ、短期間でのプロトタイプ作成と評価を実現できます。

解析機能が豊富

Autodesk Fusion(Fusion360)は、多様なCAE解析機能を備えています。 具体的には、応力解析やモーダル解析、熱解析、座屈解析など、さまざまな物理現象をシミュレーションできます。

このため、製品が実際の使用条件下でどのように動作するかを詳細に予測し、設計の改善点を特定することができます。 特に、製造業においては、これらの解析機能を活用することで、製品の信頼性と耐久性を高めることができるでしょう。

インターフェースが使いやすい

Autodesk Fusion(Fusion360)のインターフェースは、使いやすさを重視して設計されています。直感的な操作が可能なユーザーインターフェースにより、初心者でも簡単に解析を実行できます。

また、豊富なチュートリアルやサポート用のドキュメントが提供されているため、ユーザーは必要な情報を迅速に入手し、解析作業をスムーズに進めることができます。

さらに、クラウドベースのプラットフォームであるため、チーム間のコラボレーションも容易に行え、プロジェクト全体の効率を向上できます。

Autodesk Fusion (Fusion360)の
CAE解析の使い方

Autodesk Fusion (Fusion360)での基本的なシミュレーションの利用方法・手順についてお話しします。また、Autodesk Fusion (Fusion360)で実行できるシミュレーションのタイプについてそれぞれ説明します。

基本的な使い方

シミュレーションを行う場合は「作業スペースを変更」のボタンをクリックし、作業スペースを「シミュレーション」に変更します。その後、新規で「スタディ」をクリックし、実施したい解析に応じてシミュレーションのタイプを選択します。必要な設定を行い、解析を実行すると、結果が表示されます。

なお、「単純化」を利用するのも簡単な方法です。完成したデザインでそのままシミュレーションを行うと、荷重条件や拘束条件など境界条件の入力が複雑になってしまうことがあります。ここで「単純化」を使うと、シミュレーション用のモデルが作成できて、結果確認の表示がコンパクトになります。

機能

Autodesk Fusion (Fusion360)で実施できるシミュレーションは、以下の通りです。

「静的応力」「モード周波数」「熱解析」「熱応力」「構造座屈」「イベントシミュレーション」「非線形静的応力」「シェイプ最適化」という8タイプのシミュレーションが存在し、解析はクラウド上で行われます。

CAEの解析の種類

Autodesk Fusion (Fusion360)のCAE解析機能では、さまざまな解析手法を用いて製品設計の評価を行うことができます。Autodesk Fusion (Fusion360)で実装されているシミュレーションのタイプについて、以下でご説明します。

Autodesk Fusion (Fusion360)のCAE解析機能には、「Standard版」と「Ultimate版」があり、「Standard版」では上の4種類のみが提供されています。

静的応力

構造物に対して静かに荷重を加えた際の、変位や応力、安全率などを確認できるシミュレーションです。どの方向にどの程度の力を加えると、ほかのどこにどの程度の力がかかるのか、また、どの程度の力がかかると壊れてしまうのかがわかります。製品の強度や、曲がりやすいところ、壊れやすいところを調べるのに使います。アセンブリの場合は、接触の設定も可能です。

モード周波数

固有振動数を調べるためのシミュレーションです。あらゆる構造物は外部からの力がなくても自然と振動を続けています。この振動の周波数が固有振動数です。外部から同じ周波数の振動が加わると大きな共振が起き、場合によって構造物が破損します。モード周波数のシミュレーションは、製品に振動が加わった際にどのような影響が出るのかを確認できます。

熱解析

熱源がある場合に、構造物の熱伝導を計算します。熱が加わった際、製品にどのような温度変化が起こるのか調べることができます。

熱応力

熱による応力を調べるためのシミュレーションです。構造物に熱が加わった際、熱膨張によって生じる歪みの様子がわかります。上述した静的応力と熱解析を組み合わせたシミュレーションです。

構造座屈(Ultimate版のみ)

構造物に座屈現象が起きる際の座屈荷重、座屈応力を調べるシミュレーションです。徐々に構造物へと加える荷重を増加させていくと、ある段階で急激な変化が起きるケースがあります。これが、座屈現象であり、この際の荷重を座屈荷重、応力を座屈応力と呼びます。主に細長い形状の製品に力を加え、どのような影響が起こるのか調べるために用います。

イベントシミュレーション(Ultimate版のみ)

時間に沿った応力解析を行うためのシミュレーションです。製品の運動変化を時間ごとに反映し、衝突、変形、座屈といった解析を実施します。シミュレーションの内容は動画で確認できます。

非線形静的応力(Ultimate版のみ)

非線形や永久変形の静的応力解析を行うためのシミュレーションです。荷重と変形量が比例関係にある線形に対し、非線形では荷重と変形量の比例関係が成り立ちません。材料非線形、幾何学的非線形、境界非線形などが非線形の例として挙げられます。素材がゴムの場合など、荷重に対して大きく変形する製品の解析に役立つシミュレーションです。

シェイプ最適化(Ultimate版のみ)

指定条件下で最適な形状を自動計算できるシミュレーションです。拘束や荷重、必要な領域、軽量化したいパーセンテージなどを条件として指定できます。

まとめ

Autodesk Fusion(Fusion360)は、クラウドベースの柔軟なプラットフォームで、多様なCAE解析機能を提供し、設計者やエンジニアのニーズに応えてくれます。 応力解析、モーダル解析、熱解析、座屈解析など、様々な解析機能を活用することで、製品が現実の使用条件下でどのように動作するかを詳細に予測し、最適な設計を追求することができます。

従来の物理的な試作と比べて、仮想環境での解析はコストや時間の節約に大いに貢献します。設計の初期段階からCAE解析を導入することで、開発の効率化と高品質な製品の実現が可能となります。

製造業においてCAE解析を導入することで、コスト削減や製品品質の向上、開発期間の短縮など、多くのメリットを享受できます。

ぜひAutodesk Fusion(Fusion360)を活用して、次世代の製品設計を実現してください。

シミュレーションについて疑問があれば
フアクトにご相談を

シミュレーションは3Dモデルを製品化する際に必ず通過しなければならない作業です。それだけに、設計者には機能を正確に理解し、使いこなすことが求められます。

Autodesk Fusion (Fusion360)のシミュレーション機能について疑問点があれば、フアクトまでお気軽にご相談ください。機能の使い方から、各シミュレーションタイプの用途まで、お客様のニーズに合わせて細かくサポートします。もちろん、Autodesk Fusion (Fusion360)の基本的な使い方についてもご案内可能です。Autodesk Fusion (Fusion360)で設計を行う方は、ぜひフアクトのサポートをご利用ください。

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