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導体とは?電気を通す仕組みと、絶縁体や半導体との違い

最終更新日:2022.01.06 / 公開日:2022.01.06

導体とは、端的に表すなら「電気を通しやすい物質」のことです。たとえば「金属は電気を通す」ということは、多くの方が知っている現象でしょう。まさにこの"金属"は、導体の代表です。しかし、具体的になぜ電気が流れるのかについて、いまひとつ理解していない方も多いはず。そこでこちらでは、導体の概要や仕組み、絶縁体や半導体との違いについて詳しく解説します。

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導体とは?

まずは導体の定義や特徴、電気が流れる仕組みなどについて見ていきましょう。

導体の定義と特徴

世にある物質には、電気を通しやすいものと通しにくいものがあります。このうち、電気をよく通す物質のことを「導体」と呼びます。もしくは、「電気伝導体」や「導電体」と呼ばれることもあります。なお、電気が通りやすい理由は、自由電子の多さが起因しています。詳しい仕組みについては後述します。 それでは、具体的にどの程度電気を通せば「導体」となるのでしょうか?電気の通しやすさ(通しにくさ)を表す指標として、電気抵抗率があります。単位はオーム(Ω)です。特定の決まりはありませんが、10-8~10-4Ωcmが導体の電気抵抗率とされています。 超伝導体以外の導体については、このように必ず電気抵抗が発生します。そのため、流した電流のエネルギーの一部が必ず失われます。つまり、電気抵抗が低い導体はロスが少ない状態で電気を運べるということです。

半導体でできること

半導体は、電気のさまざまな制御を行うのに活用できます。
まずは"電気の流れ"の制御です。一方向に電気を流すこともできますし、その電気を止めることもできます。さらに、高速で電気を通す・止めるを切り替えると、その連続値が0と1になり、デジタルの表現を行うことも可能。このような仕組みを利用し組み合わせることで、より高度な情報処理が行えます。 なお、電流の流れを一方通行にして利用する素子がダイオードです。ただし、反半導体に用いられる素材ごとに、電気的特性は異なります。そのため、整流として利用できるものや、エネルギーが加わることで光を発生するものもあります。 後者の半導体は、電気エネルギーを光に変換するLEDや有機ELです。照明で使われるだけでなく、たとえばパソコンやスマートフォンのディスプレイなどにも応用されています。 なお、光のエネルギーを電気に変換するものもあります。太陽光発電(太陽電池)などがその代表例です。

導体に電気が流れる仕組み

ここからは、少し詳しく導体に電気が流れる仕組みを説明していきます。 そもそも物質は原子が集まってできています。そして、この原子のなかには原子核と電子があり、それぞれが結びついています。しかし、導体の原子核と電子は絶縁体と違い、結合が弱いのが特徴です。そのため、原子から離れることがあります。 原子核から離れ、自由に動けるようになった電子は「自由電子」と呼ばれます。一方、電子が抜けてしまった原子は、「陽イオン」と呼ばれます。 導体に電圧をかけると、原子から離れている自由電子が+電極へと引き寄せられます。この電子の移動こそが、電気が流れる仕組みです。なお、自由電子と電流の方向は逆になるため、電流はマイナスの方向に流れます。 なお、自由電子が移動する際には、ほかの原子(陽イオン)との衝突が起こります。これが電気抵抗の仕組みです。ちなみに、衝突時に陽イオンが振動すると熱運動が起こり、温度があります。つまり、導体に電流が流れる際には熱が発生(ジュール熱)ということです。

導体の例

具体的な導体の例を見ていきましょう。 もっとも代表的なものとして、鉄や銅などの金属が挙げられます。 たとえば銅は、電源ケーブルや家電製品の内部配線、基板の導電部分などによく用いられます。伝導率の高さはもちろん、適度に強度があるほか、耐食性も高いことが理由です。また、低価格であるためコスト面でも優れています。 アルミニウムは銅に比べると伝導率は低いですが、軽量であることがメリットです。そのため、数百メートル間隔で設置される鉄塔をつなぐ送電線などに用いられています。また、強度の高さも重視されるポイントです。 金は酸化がしにくく、薄く延ばせる点が評価されます。そのため、銅よりも伝導率が低く高価ですが、半導体のチップと基板の接続(ボンディングワイヤ)などに使われます。 ちなみに、「電気を通しやすい」ことが導体の定義ですので、物質は金属に限りません。たとえば電解液(イオン溶液)や黒鉛(炭素)なども、導体に含まれます。また、電気を通すという意味で、人の体も導体の一種です。

絶縁体や半導体との違い

世の中には電気を通しやすい物質である導体以外にも、電気をほとんど通さない「絶縁体」、一定の電子を通す「半導体」という物質があります。それぞれ、導体との違いを見てみましょう。

絶縁体

電気をほとんど通さない物質のことを「絶縁体」もしくは「不導体」と呼びます。材質はガラスやゴム、プラスチックなど。電気抵抗率はおおよそ108~1018Ωcmです。 自由電子は、原子が持つエネルギー帯のうち、もっとも内側にある価電子帯と、電気伝導に寄与する自由電子を持つエネルギー帯である伝導体の間を渡ることで移動します。導体の場合は、この価電子帯と伝導体が結合している状態なので、自由電子は楽に移動ができます。 一方、絶縁体には価電子帯と伝導体の間に大きな空白(バンドギャップ)が存在します。そのため、自由電子が移動する際には熱や光などのエネルギーが必要になります。このバンドギャップによって、電流が妨げられます。

半導体

導体と絶縁体の間に位置する半導体は、一定の電気性質を持つ(ある程度電気を通す)物質です。電気抵抗率も、10-4~108Ωcmと、ちょうど導体と絶縁体の間になります。 半導体は、温度によって電気抵抗率に変化が起こります。高温になると電気抵抗率が低くなり、電気が通りやすくなります。これは、絶縁体で説明したバンドギャップが関係しています。半導体のバンドギャップは絶縁体に比べて小さく、ある程度のエネルギーが加わると、自由電子が移動できるようになるのです。 なお、半導体の代表的な素材はシリコンですが、この単結晶はほとんど電気を通しません。そのため、不純物を混ぜることで電気抵抗率を低くし、制御がしやすい性質へと変化をさせて作られます。

物質の性質を理解することは、ものづくりの第一歩

今回は導体について詳しく解説を行いました。ものづくりの場面では、導体だけでなく、絶縁体や半導体を組み合わせながら、必要な製品を作ります。とくに半導体は身の回りの家電製品や自動車、太陽光発電などにも活用されている重要な物質です。 当社では、半導体製造の機械設計なども承っております。充実のサポートをご用意しておりますので、お困りごとがあればぜひFACTまでご相談ください。


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