DOCUMENT資料

2030年問題とは?製造業が抱える課題と実施するべき対策を解説

最終更新日:2025.04.28 / 公開日:2025.03.05

2030年問題とは、製造業を含む国内全ての企業が直面している、深刻な人手不足のことです。
急速に少子高齢化が進む日本では、2030年に総人口の約3割が高齢者になると予測されており、今後働き手の確保はますます難しくなっていきます。企業にとって、人材確保は急務です。
本記事では、製造業が抱えている2030年問題の課題と、取るべき対策について解説します。

imgpsh_fullsize_anim.jpg

2030年問題とは

2030年問題とは、少子高齢化による人口減少で生じる、さまざまな社会問題の総称です。 日本では2025年に団塊世代が75歳を迎え、2030年以降は労働者が一気に減っていきます。いわゆる現役世代の取り合いになるため、中小企業はもちろん、大企業であっても、人材不足の解消は差し迫った課題なのです。
ただ、人が足りなくなってから対策をしても、魅力的な人材は確保できません。10年後20年後も安定した経営を続けられるように、2030年問題の影響や対策を今から考えておきましょう。

2030年問題が日本企業へもたらす悪影響

人材確保・採用活動の難化

2030年以降、少子高齢化によって採用活動の難易度が上がります。
人口が減り、売り手市場化が進めば、当然求職者はより待遇の良い企業を優先して選ぶので、意欲のある人材・優秀な人材・専門的な知識や技術を持った人材を確保するためには、採用活動の強化が必須です。
リファラル採用やスカウトの導入、採用プロセス全体の見直しに加えて、負担が増える採用担当者の待遇改善なども検討する必要が出てくるでしょう。

人件費の負担増

2030年問題が企業に与える大きな影響のひとつが、人件費の高騰です。
求職者に自社を選んでもらうためには、他社と同等またはそれ以上の給与や賞与、福利厚生を用意する必要があります。
当然、競合他社も採用活動にコストをかけてくるため、人件費の高騰に耐えきれない企業も出てくるでしょう。 また、若者の数が減ることで介護負担が増え、企業側の社会保険料も増えてしまいます。

人手不足・コストの肥大による業績の悪化

人手不足やコストの肥大による業績悪化も、2030年問題で予想される影響です。 人口が減ると内需も減るため、受注数が減る可能性は高いですし、人手不足だと新たな取引先の開拓や新規事業の開発もできません。
既存社員に負担が集中し、生産性が下がった結果顧客が離れたり、離職者が増えたりすれば、人手不足倒産もあり得ます。

2030年問題により製造業が直面する課題

人手不足による高年齢化

製造業の現場で少なからず課題となってくるのが、熟練工の高年齢化。 2030年問題に対処できず、人手不足が続くと、社内の平均年齢が上がります。人は年齢を重ねると体力が衰え、集中力や新しい技術の吸収力も落ちていくものです。新入社員を確保できなければ、徐々に生産性や高度な要求への対応力も落ちていき、労災が発生したり、顧客の要望に応えられなくなったりしていくでしょう。

企業が継承してきた技術・知識・ノウハウの断絶

ベテランの技術者が培ってきた技術・知識・ノウハウは、引き継ぐ者がいないと失われます。特に、技術力を売りにしている中小の製造業にとって、技術力の継承は非常に重要な課題です。
うまく技術を継承できなければ、企業としての強みを失ってしまうため、2030年問題に備えるなら、どうやって今ある技術やノウハウを承継させるかを考える必要があります。

設備投資や社内改革の遅れ

人手が減るということは、いずれこれまでよりも少ない社員数で、これまでと同じ、もしくはそれ以上の業務をこなしていく必要が出てくるということです。
そこで重要なのが、IT技術やDXを使った業務の効率化。現状の業務で手一杯だからといって、設備投資や社内改革を怠ると、気付いたときには同業他社に取り残されてしまいます。設備投資や社内改革は、人手不足が本格化する前に着手することが大切です。

海外企業とも戦える戦略や企業力の育成

多くの中小企業は、海外進出しなくても国内だけで売上を立てられます。なぜなら日本は島国であり、独自の言語を使っている関係上、海外企業の参入障壁が高く、内需だけでもビジネスが成り立つからです。
しかし、人口が減っていけば、いずれ内需だけでは売上を確保できなくなります。将来的に企業を成長させていくためには、国際競争力を高め、海外でも売れる商品・サービスを生み出す必要があるのです。

2030年を見据えて製造業が取るべき施策

フレキシブルな人材登用制度の導入

「高卒・大卒の新入社員」「即戦力になる中途採用」を狙った採用活動は、遅かれ早かれ限界を迎えます。そこで重要なのが、より幅広い人材を受け入れられる人事採用制度の導入です。
外国人労働者の積極的な受け入れ、定年退職後のシニア人材の再雇用、育休・産休・有給取得の簡易化による職場復帰しやすい環境作り等で人材を確保できれば、人手不足の影響を抑えられるでしょう。

IT技術を活用した徹底的な業務の効率化

人手不足への対策として効果的なのが、IT技術を活用した業務の効率化です。 たとえば、より高性能な業務用マシンを導入したり、作業工程を簡略化できるシステムに乗り換えたりすれば、社員一人当たりの生産性を底上げできます。一つひとつの業務を見直し、「本当に必要な作業なのか」「何からのサービス・ツール・機械等で自動化できないか」を考えましょう。生産性や作業効率が上がれば、職場の働きやすさも改善され、企業のイメージも良くなります。

労働環境・待遇・福利厚生の見直し

労働環境・待遇・福利厚生の見直しも重要です。人手不足が進めば進むほど、労働者はより働きやすく、条件の良い企業へ移っていきます。 特に、若者はワークライフバランスの充実を重視しているケースが多いので、給与のベースアップやフレックス制の導入、福利厚生の拡充といった施策で、社員の離職率を抑えましょう。人材の確保が難しくなる分、雇った社員に定着してもらう価値が増えていきます。

ナレッジマネジメントの導入

ナレッジマネジメントとは、知識や技術を整理して共有することで、仕事を属人化させない取り組みのことです。技術力の高い人材は企業にとって貴重ですが、特定の社員しかできない仕事・わからない仕事を作ると、その社員が辞めた時に業務が止まってしまいます。
ナレッジマネジメントを進め、誰が休んでも仕事が回る状態を作れば、休みを取りやすくなるため、リスクを減らしつつ社員の定着率も高められるでしょう。資格の取得や社内独自の認定制度に報奨金を出したり、マニュアル化を行った社員を評価する制度を作ったりして、「ノウハウを共有すると社員が得する環境」を整えることをおすすめします。

企業イメージの向上

数ある企業の中から自社を選んでもらうためには、積極的なアピールが必要不可欠です。 特に若年層の求職者にとって、働きやすさや労働条件の明快さは重要なポイントなので、Web広告を出したり、SNSで広報活動をしたりして、企業イメージを向上させましょう。
社員インタビューや社内動画の投稿など、情報開示の手段が多ければ、求職者に興味を持ってもらえる可能性が高くなります。

まとめ

2030年問題は、製造業にとって今後の経営状態を左右する身近な課題です。余裕がある内に対策を施さないと、同業他社や海外企業に出遅れ、人材を確保できなくなってしまうので、採用フローの改善・労働環境の見直し・IT技術を使った業務の効率化などを積極的に進めましょう。

フアクトでは、月額7,400円で製造業になくてはならないCAD/CAMを効率化できるシステム、「Autodesk Fusion」を提供しています。無料の体験版があり、オンラインセミナーも利用できるので、興味があればぜひ一度、お問い合わせください。

フアクトはWebセミナーでも有益な情報を発信!

製品に関するご相談・お見積もりは
お気軽にお問い合せください

  • 045-316-4331