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ヒューマンエラーとは?種類や原因、防止対策を解説
最終更新日:2025.04.28 / 公開日:2025.03.03
人間の行動が引き起こす「ヒューマンエラー」。どのような業界でも、業務の遂行に大き な影響を与えるミスであると言えます。場合によっては事故につながることもあるため、 ヒューマンエラーを極力起こさないよう事前に対策を練ることが必要です。
そこで今回は、製造業にフォーカスを当てて、ヒューマンエラーの種類や原因について解
説します。また、ヒューマンエラーを防止するための対策もご紹介しますので、ぜひ最後
までご覧ください。

ヒューマンエラーとは
ヒューマンエラーとは、人為的なミス、つまり人間の行動が引き起こす失敗やミスのことです。
知識・経験不足などによるミスや、慢心や油断が招く失敗などがあります。また、人災や不安全行動などと呼ばれるものも、ヒューマンエラーに当てはまります。
ヒューマンエラーは、不良品が発生するなど、損失につながることが多いです。
もとは小さなミスでも、大きな事故や怪我につながってしまうこともあります。
一つひとつのエラーが小さなものでも放置せず、防止策を練ることが大切です。
ヒューマンエラーにはさまざまな原因が考えられ、人の手で行う作業がある以上、完全になくすことは難しいとされています。しかし、対策を行うことで減らすことは可能です。
ヒューマンエラーの種類
ヒューマンエラーには、大きく分けて2種類あります。
意図して発生するヒューマンエラーと意図せずに発生するヒューマンエラーです。
意図して発生するヒューマンエラーとは、「故意に」マニュアルやルールを守らなかったことで発生するものを指します。
製造業でよく見られるものには、立入禁止エリアとわかっていながら立ち入った、必要な手順を勝手に省略したといったものが挙げられます。
一方、意図せずに発生するヒューマンエラーは、いわゆる「うっかりミス」「過失」のことです。マニュアル忘れや聞き間違い・見間違い、判断や手順の間違いなどが含まれます。
製造業でよく起こるヒューマンエラーとその原因
ヒューマンエラーは、原因によって取るべき対策が異なります。製造業でよく起こるヒューマンエラーについて、エラーの内容や原因を確認しておきましょう。
意図して発生するヒューマンエラー
意図して発生するヒューマンエラーには、大きく分類すると「手抜き・横着」と「リスクの過小評価」の2種類があります。
製造業での「手抜き・横着」には、マニュアルが変わったにもかかわらず確認していなかったり、手間のかかる作業を省いてしまったりするケースが挙げられます。毎回チェックすべき項目を省略してしまうケースなどもあるでしょう。
これは、「簡単な作業だ」「いつも通りだ」という慢心や、楽をしたい気持ちが招くことが多いエラーです。ベテラン作業者のほか、作業に慣れてきた新人にも見られます。
「リスクの過小評価」は、何らかの問題が起こった際などに、その問題の重要性を低いものだとみなし、報連相(報告・連絡・相談)を怠ることを指します。 実際には大きな問題だったにもかかわらず、些細なものだと判断して見逃すと、重大なヒューマンエラーにつながるケースもあります。
意図せずに発生するヒューマンエラー
意図せずに発生するヒューマンエラーは、意図的なエラーよりも多種多様なものがあります。人が起こし得る「うっかりミス」の数だけあるといっても過言ではないでしょう。
完全に網羅することは不可能ともいえますが、製造業においてよくある原因を把握しておくと、対策に役立ちます。
意図せずに発生するヒューマンエラーには、下記のような原因が考えられます。
- ・記憶関連のミス:
マニュアルやルールを覚えられない、忘れてしまう - ・確認不足:
故意にではないが、作業に関する確認が足りていない - ・思い込み:
先入観や固定観念に影響され、手順などを間違える - ・認識違い:
マニュアルやルールの内容を勘違いしている - ・作業環境の悪さ:
空調や照明などの環境が悪く、安全性が低い・作業に集中できない - ・連携不足:
伝達が不足したり正しく伝わらなかったりすることでトラブルが起きる - ・高い作業負荷・疲労:
工程が煩雑・作業量が多すぎるなどの要因で注意力が落ちる - ・知識・経験不足:
知識や経験の不足から、正しい作業や判断ができない
ヒューマンエラーは、これらの原因が複数重なり起こるケースも多々あります。
考えられる原因の一つひとつに対し、防止策を練ることが重要です。
製造業におけるヒューマンエラー防止対策
それでは、実際にヒューマンエラーを防止するためには、どのような対策を行えば良いのでしょうか。
ここでは、製造業にフォーカスを当てて主な対策を8つご紹介します。
作業者のスキル向上
まず挙げられる対策が、作業者のスキル向上や知識獲得のための教育を充実させることです。
具体的には、実際と同じ道具・材料を用いた実践的な作業訓練や、実地研修を重点的に行うといった策があります。
作業スキルが向上することで、単純な作業ミスを防げるのはもちろん、目の前の作業で手いっぱいになることなく細かい点にも気が付きやすくなります。
その結果、他の作業者のヒューマンエラーや、人為的なもの以外のエラーを防げるケースもあるでしょう。
コミュニケーションの活性化
主に連携不足が原因のヒューマンエラーに対する防止策として、コミュニケーションの活性化があります。
連絡・伝達体制を整え、お互いに相談しやすい環境を作る工夫を施すと良いでしょう。
管理者が作業者と細かくコミュニケーションを取り、意見を聞くことも大切です。
コミュニケーションが活性化されると作業環境の改善にもつながり、伝達ミス以外のヒューマンエラーも防ぎやすくなります。
作業環境の整備
作業環境の悪さは、あらゆるヒューマンエラーの引き金になるともいえます。
作業しやすい環境づくりを心がけましょう。
具体的には、機械設備や工具のメンテナンス・買い替え、照明や空調の最適化などがあります。
作業者に環境が悪いと感じる点がないか意見を募り、現場の声を重視して環境を整えるのがおすすめです。
業務の効率化・自動化
特にヒューマンエラーが起きやすい工程がある場合には、業務の効率化や自動化を図ることで、効果的に対策できます。
工程に無駄はないか、機械やデジタルツールで自動化できる作業はないかを探り、改善しましょう。
業務の効率化・自動化を進めると、人員不足の解消や働き方改革にも役立ちます。
確認作業の習慣づけ
ヒューマンエラーの防止には、確認作業を徹底することが欠かせません。
確認が流れ作業になったり、疎かになったりすることを防ぐには、確認作業の習慣づけを行いましょう。
作業者一人ひとりに促すだけでなく、チーム全体で確認体制強化が効果的です。
全体で確認作業を行う時間や、ダブルチェック体制を設けると良いでしょう。
KY活動の実施
危険予知活動、いわゆるKY活動の実施も、ヒューマンエラーの防止に効果的です。
KY活動とは、あらかじめ問題点やリスクを洗い出し対策を講じることをいいます。
一般的には、現場にどのような危険があるのかとその理由を書き出し、それぞれに対策と行動目標を設定するという手順で行われます。
定期的にKY活動を行う時間を設け、行動目標に設定した内容を指差し確認するのがおすすめです。
マニュアルの整備
作業に関するマニュアルの整備は、ヒューマンエラーを防止するためには必須といえます。
マニュアルがあることで、単純な作業ミスはもちろん、独断や思い込みによるミスを防ぐことにもつながります。
マニュアルがあっても、わかりづらい内容では十分な効果は発揮できません。新人など、まだ知識の少ない人が見てもわかりやすいよう、内容も精査しましょう。
ヒヤリハット事例の共有
ヒヤリハット事例を全体に共有することも、ヒューマンエラー防止に効果があります。ヒヤリハットとは、「ヒヤリ」とした予想外の事態や、「ハッ」と驚いた事態など、事故につながる可能性のあった出来事を指します。
製造業においては、「フォークリフトと人が接触しそうになった」などの事故に関するもの、「パーツが足りていないのを見落とすところだった」といった作業・確認ミスに関するものが主でしょう。
実際にほかの作業者が遭遇したヒヤリハット事例を聞くことで、自身にも関係のあることと感じ、注意しやすくなります。
まとめ
多様な原因から生まれるヒューマンエラー。今回の記事を参考に対策を練り、損失や事故・怪我を事前に防ぎましょう。
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