1990年、アップル製PC「マッキントッシュ」版のCAMソフトウェアにて、マウス操作を取り入れたCAMの開発・普及に先駆的に携わる。以降、2次元から3次元CAMまで、多くのCAD/CAMソフトの開発および販売に携わり、金型加工や部品加工、多軸加工など、幅広い製造分野に精通。
ポストプロセッサ/加工シミュレーションに加え、切削加工現場のデータ通信システムにも精通。過去には職業訓練校の臨時特別講師を務め、現在も全国のCAMユーザーを技術支援・運用改善でサポート。
最終更新日:2024.11.20 / 公開日:2020.02.03

あらゆるものづくりの設計を行うCAD、さらにそれを実際の形状へと加工するためのCAMによって、現代社会が成り立っているといっても過言ではありません。しかしどれほど精密な設計を行っても、加工の際、精度に狂いが生じては求められる性能を実現できなくなります。ワイヤーカットは精度の高さが求められる金属加工に必要な技術です。ここではワイヤーカットの詳細と、対応できるCAMの紹介をあわせて解説していきます。
複雑な形状の加工を行う際に使われる技術「ワイヤーカット」の基本的な知識について解説していきます。
ワイヤーカットは、金属を加工する技術の一つで「ワイヤー放電加工」とも呼ばれています。極細のワイヤーから生じる放電現象を利用して、工作物と接触をせずに加工することができます。接触点がないため、切削では難加工な焼入鋼や薄すぎて切削では難しい材料の加工も容易です。ワイヤーカットでは、真鍮などでできた細いワイヤー線に電流を流し、金属を切断するという方法がとられます。
水や石油などの液体の中で、ごく短い間隔で放電現象を起こすことによって火花が発生し、その熱で金属を溶かして切断します。例えば、電気ノコギリなど物理的な方法の場合では、摩擦が起きたり、刃がボロボロになったりすることがあります。加工するものにもダメージを与える可能性があり、精密な加工が保証されません。ワイヤーカットは、繊細な箇所に対しても、正確に金属を加工することができます。ワイヤーカットが、精度の高さが必要な金属部品の加工に最適といわれるのはそうした理由によります。
ワイヤーカットにより加工されている工作品は、さまざまです。わずかな狂いが大惨事につながりかねない航空機の部品は、細心の注意をはらって作られています。アクチュエータやインペラなど、航空機搭載部品の製造にも、ワイヤーカットの技術が使われているのです。
家電製品の小型化やIoT化が加速する裏には、ワイヤーカットによる繊細な部品づくりの技術の貢献があります。なめらかに手に沿う携帯電話のフォルムは、ワイヤーカットが生み出す金型があってこそです。極薄の金属加工、焼き入れの技術は切れ味の良い刃物づくりに使われています。
また、ワイヤーカットはその高い技術により、鉄道模型など趣味の分野でもマニアを満足させる仕上がりを提供しています。本物とほぼ同じ造作をスケール違いで再現しているのもワイヤーカット技術によるものです。
ワイヤーカットは導通性の金属であれば、一般的な加工が困難な高硬度素材も思い通りに仕上げられます。放電エネルギーの制御により複雑な形状や微細な加工も施すことができるため、CAD/CAM などで作成するNCデータでプログラミングできる形状であれば具現化が可能です。 非接触加工という特性により、ワーク(工作物)に負荷がかかりにくく、厚み0.02mmクラスの薄板部品でもダメージなく仕上げられます。ほかの工法では不可能と思われる超微細で複雑な加工を、最小の誤差で行える技術です。
ワイヤーカットでできる具体的な加工と、その流れについて解説します。
電気を通す素材であれば超硬合金でも柔らかい金属でも扱えます。素材に直接触れないため、圧力で変形しやすい極薄素材でも正確にカット可能。長い形状の切り出しや、極細のスリット加工にも対応。圧力によるひずみがないため、精密な寸法公差を要求される部品のカットに向きプログラム通りの複雑な形状・曲線も再現。
また、切削加工やドリル加工では発生しやすい切断面のバリ・カエリもなく、超微細な部品でも狂いが生じません。深穴の加工なども高精度で施すことができ、ほかの工法では難しい直角穴の加工も可能です。指定の位置に正確にパンチでき、ピン角に限りなく近い角穴を開けられます。
実際にワイヤーカットの作業を行う手順と流れを見ていきましょう。
ワイヤーカットができるおすすめのCAMソフトウェアをご紹介していきましょう。
FeatureCAMは標準でワイヤー機能を使用することができます。フライスと同じ感覚で操作できるので、迷うことが無くNCデータを素早く作成可能です。さらに、3次元データからワイヤーカットのデータを作成することも可能です。サブスクリプション販売で、初期導入費用を大幅削減できるでしょう。
ワイヤーカットは、放電加工の原理を応用したカット技術です。電気を通す導電物質であれば、固さや厚みに関わらず微細な箇所まで、正確に加工が可能となります。刃物を使わず、ワイヤー1本での作業となるため、余分な装備は必要としません。液体中での作業となるため火災などの心配もなく、プログラムされたパターンに従ってカッティングされるので、夜間など人がついていなくても進行できるというメリットがあります。
緻密な作業ができる一方で、加工スピードが遅いため量産には向きませんが、ほかの加工機では対応できないリクエストにまで応えられます。変形が許されない複雑な部品の製作を始めとして、活用用途の広い技術です。