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半導体製造に必要な工程|設計からウェーハの製造、最終検査まで

最終更新日:2024.11.25 / 公開日:2022.01.13

半導体製造にはさまざまな工程があり、かつすべてにおいて精密な作業が求められます。正しい知識と高い技術力なしには、精度の高いチップを作ることはできません。また、厳密な検査などを通過しなくては製品としても出荷できないのが特徴です。こちらでは、そんな半導体製造の大まかな工程について解説します。合わせて半導体製造に必要となるものなどについてもご紹介しますのでぜひご覧ください。

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半導体製造に必要なものと工程

はじめに、半導体製造に必要な材料や装置と、大まかな工程について解説します。


半導体製造に必要なもの

まずは半導体製造で必要となる材料から見ていきましょう。半導体で多く使われているのはシリコンです。単結晶化させたシリコン(真性半導体)に、何らかの不純物を注入することで電導性を高め、半導体を作ります。なお、シリコン以外にも、ゲルマニウムやセレン、カーボンといった材料が使われるケースもあります。材料によって半導体の特性には違いがあるため、用途に適した選択を行います。 次に、半導体製造装置です。半導体の製造には、専用の加工装置が必要になります。マイクロやナノレベルの精度が求められる加工となるため、精密な機械制御が必要不可欠だからです。また、工程のなかでは何度も表面の洗浄・乾燥が行われますが、そのための洗浄装置なども必要になります。

半導体製造に必要な工程

半導体製造は前工程と後工程の二つに分けられます。ただし、その前に電子回路の設計を行わなくてはなりません。ここでは、使用に基づいた回路の設計のほか、別の平板へ転写する原版(フォトマスクやレチタル)の作成も行われます。 その後、半導体製造の前工程に進みます。ここでは設計した電子回路をウェーハの表面に形成する加工が行われます。次の後工程では、主に組み立てが行われます。

半導体製造工程の詳細【前工程】

より具体的な半導体製造の工程を見ていきましょう。まずは前工程です。ここでは、例としてシリコンを原料した製造工程を解説します。

ウェーハの製造

半導体は、ウェーハと呼ばれる円形の薄い板が材料です。ウェーハはシリコンの単結晶の塊(シリコンインゴット)を、ワイヤーソーなどでスライスして作られます。ただし、切り落としたままの表面には凹凸があるため、そのままでは使えません。そこで、研磨剤や研磨パッドを使い鏡面仕上げのように滑らかに磨き上げ、合わせて洗浄を行います。

成膜

よ酸化槽の上にさまざまな材料の薄膜を付着させます。具体的には、酸化シリコンやアルミニウムといった薄膜です。なお、成膜には以下のような方法があります。
●CVD法:ウェーハ表面に特殊ガスを供給し、化学反応によって分子の層を膜として生成する方法
●スパッタ法:アルミニウムなどの金属にイオンをぶつけ、分子や原子を剥がし、ウェーハ上に堆積する方法
●熱酸化:ウェーハを加熱し、酸化シリコンの膜を形成する方法
●電気メッキ法:銅配線の成膜に用いられる方法
なお、成膜後には微細なパーティクルが付着しているため、純水やブラシなどを使い洗浄を行います。

パターン転写

設計した電子回路をウェーハに転写する工程です。 まずはレジストと呼ばれる感光液をウェーハの表面へ均一に塗布します。これによって、光による回路パターンの焼き付けが可能になります。なお、照射する光源の種類で、材料は変わります。 その後、遠赤外線をフォトマスクと縮小レンズに通して照射。すると、光が当たる部分のレジスト膜だけが変質します。これによってパターンが転写されるのです。

現像

ウェーハ上の露光された部分を溶かし、薄膜の表面を露出させるために、現像液を吐出します。この際、露光がされなかったレジストは、エッチングでのマスクになります。ちなみに、上記はポジ式の場合です。ネガ式の場合は、露光しなかった箇所が溶かされます。

エッチング

エッチングでは、細かな電路などを生成するための表面処理・加工が行われます。エッチング材などの薬剤を使い、吐出した塗膜を腐食によって除去すると、現像の際に残ったレジストがマスクとなり、パターンが残ります。つまり、不要な部分を溶かして取り除く、といった作業です。なお、加工にエッチングマシーンが用いられます。

レジスト剥離

エッチングの完了後には残ったレジストの除去が行われます。不純物を薬液に浸して取り除いたり、ガスと化学反応させてレジストを灰化したりする方法があります。また、レジスト剥離後には再度洗浄が行われます。

不純物注入

シリコンウェーハは高純度シリコンでできた真性半導体です。そのままでは、ほとんど電気を通しません。そこで、半導体としての特性を持たせるためにリンなどの不純物を注入します。その後、熱処理などを行うことで活性化を促し、半導体の電気的特性を変化させます。

平坦化

さまざな加工を行った後のウェーハ表面には凹凸が発生します。その後の加工を踏まえ、研磨して整えます。なお、この後は必要に応じてパターン転写から平坦化までの作業が繰り返され、複雑な回路が作り込まれていきます。

電極形成

ウェーハに電極配線用の金属膜をつくる工程です。不活性ガスプラズマによってアルミターゲットをスパッタリングするといった手法が用いられます。生成された金属膜は、チップの内部と外部の電気的接続における通り道の役割を果たします。

ウェーハ検査

1枚のウェーハ上には数多くの回路パターンや数百におよぶチップが配置されています。この一つひとつに対し、テスターがプローブという針を振れさせて、電気的な問題を検査していきます。

半導体製造工程の詳細【後工程】

前工程は半導体を設計通りに加工し、電気特性を持たせるための作業です。後工程では、製品としての仕上げ等が行われます。

ダイシング

ダイヤモンドブレードを使い、ウェーハを切断していく工程です。切り離されたチップは「ダイ」と呼ばれる最小単位になり、良品のみが次の工程へと進みます。

パッケージング等の仕上げ

ダイに分けられたチップを、最終的な製品の形に整える工程です。具体的には、以下のような作業が行われます。
●マウンティング:チップがリードフレームからズレないよう、所定の位置へと固定します
●ワイヤーボンディング:チップとリードフレームをボンディングワイヤーと呼ばれる金線等で接続します
●モールド:傷や衝撃からチップを守るために、セラミックや樹脂などでパッケージします
●トリム&フォーム:リードフレームから個々の半導体製品を切り離し、外部リードの成型を行います

最終検査

仕上げ作業が完了したら、最後に検査が行われます。温度・電圧の試験、電気的特性試験、外観構造検査など、厳しいチェックを通過したチップが、製品として出荷されます。

数多くの工程を経て半導体はできている

今回の記事で解説をしたように、半導体はさまざまな工程を経た後に、製品として世に送り出されています。すべての工程において精密な作業が必要となることから、半導体製造は高度な技術の結晶とも呼べるでしょう。


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