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n型半導体とは?基本的な仕組みとp型半導体との違い、利用例を解説

最終更新日:2023.08.30 / 公開日:2022.01.07

n型半導体は、電子の移動により電流を作り出す半導体の一種です。ものづくりの現場では、同じく半導体の一種であるp型半導体と合わせて広く用いられています。こちらでは、そんなn型半導体の概要や性質、p型半導体との違いについて解説します。合わせて、利用例やpn接合といった関連知識もご紹介しておりますので、ぜひご覧ください。

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n型半導体とp型半導体

n型半導体についての理解を深めるためには、はじめに半導体が持つ2つの型を知っておくことが大切です。それぞれの特性などを、以下から解説します。

半導体の2つの型

半導体は、絶縁体(電気をほとんど通さない物質)と導体(電気を通しやすい物質)の中間的な性質を持つ物質のことです。そして、その構造と特性により、「n型半導体」と「p型半導体」に分けられます。いずれも「絶縁体よりも電気を通しやすく、導体よりも電気を通しにくい」という特徴は同じですが、その仕組みには大きな違いがあります。

n型半導体とは?

負電荷を持つ自由電子によって電気伝導が起こる半導体を「n型半導体」と呼びます。端的に言うなら、電圧をかけることで、半導体内の自由電子がプラス極側へと移動し、電流が流れるという状態です。なお、マイナスの電荷を持つということから、負(negative)の頭文字を取り、n型と呼ばれています。

p型半導体とは?

p型半導体には、n型半導体のような自由電子が存在しません。一方、価電子帯に発生する電子の欠損部「正孔(ホール)」があります。プラス極側に隣り合う電子は、正孔に移動する性質があります。その移動が、結果として電気伝導につながるというのが主な仕組みです。なお、見た目上は正孔が-極へと移動していることから、正(positive)の電荷を持つとされ、p型と呼ばれています。

n型半導体の構造と特性

次に、n型半導体の構造を見ていきましょう。 n型半導体は、元素の周期律表におけるⅣ族の元素のなかに、微量のⅤ族の元素を含有することで作られます。Ⅳ族の代表としては、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などなどが挙げられます。また、Ⅴ族にはリン(P)、ヒ素(As)などがあります。 なぜⅤ族の元素を混ぜる必要があるのかというと、そこには電気抵抗が関係しています。そもそも、シリコンなどを単結晶させた真性半導体は、ほとんど電気を通しません。つまり、ほぼ絶縁体の状態です。このままでは、電流の制御を行えません。そこで、Ⅳ族を混入させることで、電気抵抗を減らし、半導体としての性質を持たせるのです。

n型半導体に電気が流れる仕組み

不純物が含有することで、なぜ電気抵抗が下がる(=電気を通せるようになる)のかを、より詳しく見ていきましょう。今回は、シリコンとリンを例に考えていきます。 シリコンが持つ価電子は4つです。単結晶は、この4つの価電子が結びつき合っている状態となるため、電子が動けない状態にあると言えます。一方、不純物であるリンは価電子を5つ持っています。それぞれが合わさると、リンの価電子がひとつ余る計算です。 余剰となった電子は自由電子となり、どこにでも動ける状態となります。そのため、電圧が掛けられると自然にプラス極へと引き寄せられます。この自由電子の存在こそが、n型半導体が電気を通す役割を担っているのです。

n型半導体の利用例

次に、n型半導体がどのように使われているのかを見ていきましょう。

半導体素子への利用

n型半導体とp型半導体は、互いに接触することでpn接合と呼ばれる接触面(ジャンクション)が生まれます。これを半導体素子として利用すると、整流反応によってトランジスタやダイオードとして利用が可能になります。

pn接合とは?

前述のpn接合についても、もう少し掘り下げてみましょう。 pn接合(n-p接合)では、境界付近へ向かい、p型とn型それぞれの正孔と自由電子(キャリア)が引きつけ合います。正孔は電子を持たない"穴"のようなものですから、それと自由電子が出会うと互いが結合し、消滅します。この現象が繰り返されると、最終的にはp型半導体がマイナス極に帯電し、n型半導体がプラス極に帯電することになります。結果、n型半導体からp型半導体の方向へと電界が発生するのです。 この際、p型半導体はn型半導体に比べて高いエネルギーを持っている状態になり、その差によって、キャリアの存在しない空乏層が生まれます。空乏層にはキャリアが存在しませんので、電子の移動も起こりません。つまり、この層は電気を通さない絶縁物となるのです。 また、pn接合には整流作用という現象が示されます。これは、一方方向にしか電気が流れない状態のことで、活用することで電気を通す・通さないの制御が行えます。

もっともシンプルなn型半導体

p型半導体に比べ、n型半導体は分かりやすい構造を持った物質です。仕組みが理解できると、半導体デバイスなどがどのようにして電気伝導をコントロールしているのかなどが理解できるでしょう。ものづくりの基礎知識として、ぜひ覚えておいてください。


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