1990年、アップル製PC「マッキントッシュ」版のCAMソフトウェアにて、マウス操作を取り入れたCAMの開発・普及に先駆的に携わる。以降、2次元から3次元CAMまで、多くのCAD/CAMソフトの開発および販売に携わり、金型加工や部品加工、多軸加工など、幅広い製造分野に精通。
ポストプロセッサ/加工シミュレーションに加え、切削加工現場のデータ通信システムにも精通。過去には職業訓練校の臨時特別講師を務め、現在も全国のCAMユーザーを技術支援・運用改善でサポート。
最終更新日:2025.08.23 / 公開日:2019.08.22

もの作りにおける品質向上と設計期間の短縮をする際にCADがあると便利です。しかし、CADの導入を検討する段階では簡単に使えるのかどうかや、本当にシステム導入メリットがあるのかなどさまざまなことが気になります。
この記事では、CADの特徴や大まかな種類を簡単に触れつつ、CADを導入するメリット、具体的な使い方、これから新しくCADを導入する場合のおすすめのソフトウェアについてご紹介します。新たにCADの導入を検討している企業の担当者や経営者の方はぜひ参考にしてください。
CADはComputer Aided Design(コンピューター支援設計)の略で、パソコンにソフトウエアをインストールしてPC上で設計や作図などを行うためのシステムです。実際の試作品を何度も作ると設計時間の効率が悪い場合をはじめ、制作物が複雑な場合、大きすぎて試作品が作れない場合などでよく用いられます。CADが活用される業界は製造業や建築業、土木事業などが代表的で、CADにCAM機能を含んだCAD/CAMもあります。
CADは専用CADと汎用CAD、または2DCADと3DCADといった分け方ができます。ここでは、それぞれの違いについてご紹介します。
専用CADとは、ある分野の設計に特化し、設計効率を高めるのに便利なCADです。代表的なものには、建築用CADや機械用CAD、土木用CAD、電気用CAD、服飾デザイン用CADなどがあります。専用CADでは、その業界でよく使う機能があらかじめ準備されているのが特徴です。たとえば、建築用CADであれば外壁や設備のテンプレートがあり、3Dの外観を簡単に表示するための機能があります。機械用CADは抜きテーパーやリブを立てる機能、自由曲面を作るため機能などが含まれます。
汎用CADは、「立方体や立体を組み合わせる」「円を描画する」「直線を組み合わせる」など特定の分野を問わない機能を備えたCADです。以下で説明する2D CAD(2次元CAD)と3D CAD(3次元CAD)の両方に対応可能なものも多い傾向です。専用CADとできあがりの形状がそれほど変わらなかったとしても、作成できる形に制限があったり、希望する形を作成したりするには専用CADよりも手順が多くかかることがあります。
平面的な設計検討をしたい場合や、手書きの図面をデータに起こしたいだけの場合などは、2DCADがあると便利でしょう。2DCDは、正面図や平面図、立面図などが製図できるCADです。直線を書く機能や、円弧を書く機能などを組み合わせながら希望する図面を作り上げます。部品表や履歴の表をはじめ、文字で注釈なども入れられます。
近年、普及しているCADは、はじめから立体の形状を定義して設計検討を行う3DCADです。ある形状をもとに粘土のように形を足し引きして立体を作るタイプ(ダイレクト・モデリング)と、円すいなど機能を持った形を定義して立体を構成していくタイプ(パラメトリック・モデリング)があります。
設計者の感性を活かして形を作りたい場合や、設計が固まった形状を立体にするのであれば、ダイレクト・モデリングに対応している3DCADがおすすめです。
また、詳細な設計の途中で細かい設計変更がある場合はパラメトリック・モデリングに対応している3DCADが向いています。また、一度3DCADでデータを作っていれば、作図機能を選択するだけで簡単に形状を図面にできる機能が付いているのが一般的です。
CAMは、Computer Aided Manufacturing(コンピュータ支援製造)の略です。最近は前述のようなCADを使ってパソコン上で設計検討するのが一般的ですが、製品を量産する際は、実物を工場で作らなければなりません。CAMはCADで作成した図面データをもとにNC工作機械を操作するための加工プログラム(NCデータ)を作成するなど、CADデータを実際の量産につなげる途中で必要となるシステムです。
CAM自体には、ドリルやエンドミルの形状情報がもともと用意されています。CADのデータを取り込むと、形状に切削工具がぶつからないように切削方向を検討するのが賢明です。また、効率的に加工を行うためにテーブルや、部品をどのように回転させるなどの最適化も行います。CAMは、NC工作機械に限らず、マシニングセンタの多軸制御に対応している場合もあります。
パソコンで一般的なオフィスの文書を作成したり、表計算のソフトを切り替えたりするような感覚でCADとCAMを使い分けながら設計ができます。CAD/CAMがCAM単体と比べて優れているのは、設計変更に強いというところです。CADとCAMが分かれている場合には、それぞれのデータの互換性を保ちながらデータのやり取りをしなければなりません。
そのままのファイルを読み込めない場合には、中間ファイルと呼ばれる汎用性の高いデータ形式にいったん変更して読み込んでみましょう。データの読み込みは、特に問題ない場合もありますが、複雑な形状やテーパー、面取り部分などの形状が欠落したりずれたりする可能性があります。取り込んだデータに問題がないか確認するひと手間に時間がかかると、作業効率が悪くなってしまいます。
そこで同じメーカーのCADとCAMを導入するなど、データのやり取りが比較的スムーズです。そのため、CAD/CAMとしてCADもCAMも同じソフトウエア内に含まれている製品が多く扱われています。また、CAD/CAMでなくてもCADにCAMのソフトウエアをオプションとして追加して使えるようにするタイプのソフトウエアもあるので検討してみましょう。
CADを使って設計する最大のメリットは設計変更に簡単に対応できること。必要な箇所の削除・修正や新たな要素の追加も簡単です。3DCADの場合、3Dの立体形状と図面とが関連づいていて、3Dの形状を変更すれば図面に自動的に反映されます。図面側ですでに寸法を入れている場合でも自動追従するため、新たに作図をし直す必要がありません。
部品図であればそれほど影響がないかもしれませんが、部品を複数組み合わせる組み立て図の場合、部品の寸法や形状が1つ変わるだけでも大変です。紙で作図していた場合には、部品図は形状変更していたものの、組み立て図の更新が行われていなかったので、部品が干渉してしまうというトラブルが起こる場合がありました。
また、作図には設計のルールがあり、形状線の太さや引き出し線の太さなどに細かく指定があります。立体形状を図面に落とす都合上、ある面を正面図にした場合投影法に準じて適切に形を書き起こさなければなりません。作図の知識が不十分な場合、側面図一つを作図するのにもとても時間がかかります。これに対してCADの場合、ある面を正面図として指定したら、それ以後の投影図は自動生成されるため、作図の効率が劇的に向上します。
その他、裏側の形状は自動的に点線になり陰線表示ができたり、寸法の線の種類も書式で統一したりできます。このようにCADで図面を書く場合、手書き図面ほどは設計経験や技術を必要としません。CADの扱い方さえ覚えていればよいため、設計アシスタントなどでも図面作成がしやすくなります。たとえば、設計は設計者が行い、CADスキルがもともとある別の担当者がCADデータ作成を行うなどの分担を行えば、設計者は設計業務に集中でき、CADの操作を習得するためにかかるコストの削減も期待できるでしょう。
設計は、自社内だけでなく他の設計拠点や外部の設計会社、クライアントなどと連携しながら行うのが一般的です。その場合、現在どのような形状になっているのか共有することが非常に重要になります。紙図面の場合にはスキャナでデータ化して送付するなど、ひと手間必要でしたが、CADの場合はデータがすぐに取り出せます。パソコン上にデータを呼び出せばさまざまな方法でデータの共有が可能です。
CADの場合は、デザインから営業、設計、生産部門までそれぞれが必要に応じていつでもデータを参照できる専用のサーバ(PDM:Product Data Management)を導入していることが多いでしょう。この仕組みを利用すると、CADの3Dデータと図面をリビジョンつきで保存でき、属性情報や、承認管理などを盛り込むことができます。また、元データがサーバ上にしっかり保存されているため、複製・共有が簡単で、複数人で同時に図面作成を行うことも可能です。
さらに過去の3Dデータと図面データを再利用して派生部品を作るのも簡単ですし図面が個人保管になってしまい紛失してしまうといったトラブルも減らせます。
3次元上で部品を作成したうえで、その形状をもとに図面の編集を行います。設計変更がある場合には、3Dの形状を変更すると図面も自動的に変更されます。
うまくデータ変換を行えば過去のCADで作成した図面やpdfなどからデータを読み込むことも可能です。
「CADは便利だけど、もっと効率的に作業を進める方法はないの?」そう思われている方も多いのではないでしょうか。
実はCADソフトには、日々の作業を今よりもっとスムーズにするための、ちょっとした「コツ」がありますのでご紹介します。
CADソフトには、よく使うコマンドを瞬時に実行できるショートカットキーがたくさん用意されています。例えば、「コピー」や「貼り付け」のように、キーボードでパッと操作するだけで作業効率が格段に向上します。
マウスで何度もメニューをクリックする代わりに、ショートカットキーを覚えるだけで、作業時間はみるみる短縮されるでしょう。最初は覚えるのが大変かもしれませんが、毎日使うコマンドから少しずつ試していくのがおすすめです。
「この前の図面と似たようなものを作りたいんだけど、またゼロから描くのは面倒だな...」 そんな時こそ、テンプレートや既存の図面が役立ちます。よく使う図面構成や部品は、テンプレートとして保存しておけば、次回からはそれを呼び出すだけで作業を始められます。
また、すでに完成している図面の一部を流用するのも賢い方法です。一から全てを作る手間が省けるだけでなく、過去の成功例を活かせるので、品質の安定にもつながります。
「せっかく作ったCADデータも、どこに保存したか分からなくなったり、どのバージョンが最新か混乱したり...」そんな経験、ありませんか?
効率的な設計業務には、データの管理が非常に重要です。ファイル名やフォルダの階層を分かりやすく統一したり、いつ誰が修正したかを記録する「バージョン管理」を徹底するだけで、必要なデータがすぐに見つかるようになります。
最近では、クラウドストレージを活用する企業も増えており、これを使えば複数人でのデータ共有や、万が一のパソコン故障に備えたバックアップも簡単に行うことができます。
多くのCADソフトには自動化機能が搭載されており、これを有効活用することで繰り返しの単純作業を行う必要がなくなります。手間のかかるルーティン作業は、積極的に自動化機能に任せてしまいましょう。 これにより、より創造的な設計業務に集中できる時間を増やすことができます。
ここまで、CADを使って設計・製図を効率化するための様々なノウハウをご紹介してきました。
これらのコツを実践すれば、日々の作業は今よりも格段にスムーズになるはずです。
しかし、ものづくりの効率化はCAD作業だけに留まりません。設計データをもとに加工を行うCAM(Computer Aided Manufacturing)との連携を深めることで、ものづくりプロセス全体の生産性を飛躍的に向上させることが可能です。
特にCAMプログラミングにおいては、その自動化が劇的な効率化をもたらします。
これまでCAMプログラミングでは、加工条件を一つひとつ手作業で設定するのが一般的でした。 しかし、この手作業は膨大な時間と労力を必要とし、生産性向上の大きな壁となっていました。
そこで役立つのがCAM自動化ツールです。
あらかじめ定義されたパターンに基づいて加工方法を自動で決定し、
最適な工具や加工条件まで自動で呼び出してくれます。
これにより、プログラミングにかかる工数を最大90%も削減できる可能性があり、結果的にリードタイムの短縮や生産コストの削減に直結します。
CAM自動化ツールは、知識や経験が必要な複雑な作業をパターン化することで、人間が細かな判断を行う必要をなくします。 これにより、ヒューマンエラーが劇的に減り、不良品の発生リスクを最小限に抑えることができます。結果として、安定した品質の製品を供給できるようになり、無駄なコストも削減できるでしょう。
ご紹介したCAMの自動化を強力に推進するのが、FeatureCAMです。 FeatureCAMは単なるCAMソフトウェアの枠を超え、設計からNCコード生成までのワークフロー全体を自動化し、ものづくりプロセス全体を効率化するために開発されました。
FeatureCAMは、プログラミング工数の削減、ヒューマンエラーの激減、そして品質の標準化を実現し、あなたのものづくりを次のレベルへと引き上げる強力なパートナーとなるでしょう。
FeatureCAMの詳細はこちらよりご覧ください。
この記事では、CADの基本的な使い方から種類、導入メリット、そして「もっと効率的に!」という皆さんの願いを叶えるためのCAD制作ノウハウ、さらに生産性を劇的に向上させるCAD/CAMの自動化について解説しました。
ものづくりの現場で求められる品質向上や設計期間の短縮は、CADの導入によって大きく前進します。そして、CAMの自動化は、プログラミング工数の大幅な削減やヒューマンエラーの抑制といった、さらに高い次元での効率化を実現します。
これらの先進的なノウハウとツールを積極的に活用することで、あなたのものづくりは確実に次のステージへと進化するでしょう。