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A軸とは?工作機械で重要な軸の特徴とマシニングセンタの基礎知識

最終更新日:2022.08.23 / 公開日:2019.08.19

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部品には原点を基準に形状や寸法などが定義されています。工作機械を数値制御して加工する際は、座標軸をもとに機械を動かします。CAMではX軸、Y軸、Z軸のほかA軸、B軸、C軸といった軸が使われるため、混乱することもあるでしょう。ここではA軸をはじめ工作機械で使われる軸の特徴を整理します。加えてマシニングセンタの概要、マシニングセンタのプログラムを検討するのに用いるCAMについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。

A軸とは?

A軸は工作機械の軸の一つ

立体的な部品を作成する場合は、座標の定義が不可欠です。そこでX軸、Y軸、Z軸という3軸を定義して検討します。一般的にX軸が水平方向、Y軸が垂直方向、Z軸がX軸とY軸が交わって定義される平面の奥行方向を示します。XYZの3軸で定義された形状を加工する場合、斜めから工具を入れる、裏から工具をあてるといった回転要素が必要になります。そのため、マシニングセンタなどの工作機械ではX軸、Y軸、Z軸という直線方向の軸に対して回転方向を定義するA軸、B軸、C軸という軸が設定されます。

A軸・B軸・C軸の違い

・A軸とは、X軸を中心として回転する軸のことであり、主軸として使われることもあります。可動範囲は度(-90°から90°など)で定義します。

・B軸とは、Y軸を中心として回転する軸のことです。可動範囲は度(-90°から90°など)で定義します。

・C軸とは、Z軸を中心として回転する軸のことです。可動範囲は度(-90°から90°など)で定義します。

マシニングセンタとは?

マシニングセンタの基礎知識

マシニングセンタは数値制御(NC=numerical control)をしてフライス加工や、穴あけ、ねじきりといった複数の加工を1台で行う工作機械です。NCフライス盤やNC旋盤との違いはATCと呼ばれる工具を自動で交換する機能を持っている点です。マシニングセンタのATCは数十本から数百本の工具を格納するマガジンと、工具を取り出してホルダに取り付けるアームなどから構成されています。

マシニングセンタを動かすプログラムはCAMで作成します。しかしCAMのデータはCLデータと呼ばれ、そのままではマシニングセンタを動かせません。マシニングセンタを駆動するためにはCLデータをポストプロセッサに入力し、英数字で表現されるNCデータに変換をします。NCデータは主軸回転数をはじめ座標情報や送り速度、マシニングセンタの機能を定義するGコードなどが含まれています。

マシニングセンタの主な種類

マシニングセンタには横形、立形、門形、5軸制御マシニングセンタなどがあります。
詳しくは『マシニングセンタの使い方とは?CAD/CAMソフトウェアで作業を効率化』記事をご参照下さい。

5軸制御のメリット

マシニングセンタでは3軸や5軸などで切削加工ができます。工具や工程を使い分ければ、3軸加工でも5軸加工でも同じ形状の部品が作成できます。

しかし3軸加工の場合、部品の形状によっては長いエンドミルが必要になる場合や、何度も部品を回転させ加工方向を調整しながら切削する場合などがあります。エンドミルが長ければ、回転軸が切削抵抗でたわみ部品の加工精度が下がります。

また、再セッティングして切削する場合は、芯だしの手間がかかりますし治工具を使う手間がかかることもあります。このように3軸制御の切削加工では、手作業が入ることがあり、場合によっては加工精度や加工効率を下げる要因になります。

一方、5軸制御のマシニングセンタには以下のような特徴があります。3軸までの加工機に比べると設備投資は必要ですが、加工にかかる時間が削減できるだけでなく、加工時のばらつきが抑えられるメリットがあります。

・自由曲面があるような複雑な形状や、内側の角を丸く落とす加工など、深いリブを作成する加工などでも、材料のセッティング回数を最低限にして作成できる。

・多軸制御で一度のチャッキングで荒削りができる。

・A軸をはじめ複数の回転軸を活用すればツールパスの無駄が減り、最短経路で切削できる。

・最適な方向から切削工具が入れられるため、工具の長さを短くすることができる。短い工具を使えば主軸のたわみなどが抑制できる。

複雑な加工にも対応できるおすすめのシステム

複雑な形状の加工の座標計算は高難度

座標の基本的な表現方法として、XYZ軸の3軸は以下のように表現されます。
・X軸:テーブルの左右方向の移動軸、右方向が+
・Y軸:テーブルの前後方向の移動軸、奥方向が+
・Z軸:ヘッドの上下方向の移動軸、上方向が+

たとえば「G01X30.Y-50.Z-10.F800」といったNCコードがある場合、1分間に800mmの速さでX軸の+方向に30mm、Y軸に-50mm、Z軸に-10mm軸を動かします。 このような計算を1つ1つ検討してツールパスのプログラムを考えるのは非常に大変です。これにA軸などが追加され形状が複雑になるほど、座標計算は難しくなります。そうするとプログラムの打ち込みミスが発生したり、作成時間がかかったりする可能性があります。このような課題に対応するためにCAMが使用されます。

ツールパスはCAMで検討すると便利

CAMでツールパスを検討する際は、使用する工具やホルダを選び、加工した部品の面を選択すると、設定画面が表示されてそれぞれの部位の加工内容を定義するといったかたちで対話的にすすめられます。

また、CAMには部品の形状ごとに検討した加工条件をもとに、5軸用のツールパスを変換する機能を有するものがあります。設計者が部位ごとの加工条件を定義してCAMがツールパスを自動生成してくれれば、設計者はそれを確認し、必要に応じて手直しをするというかたちで簡単に設計検討ができます。

CAMを活用すると、ある部位を加工するためにどの軸を何mm動かす必要があるといった検討を最小限にできるため、それだけツールパスの作成効率が良くなります。

おすすめのシステム

製品名:FeatureCAM

主な特徴:
FeatureCAMはXYZ軸のほかAB軸の定義を行い、5軸用の加工パスが作成できます。CATIAやPro/E、NXなど一般的なCADからのダイレクトインポートに対応しているため、設計形状の手直しや変換ロスなどを気にせずツールパスの検討が始められます。さらに、2.5次元加工や、削らない部分の追加、多数個取りといったニーズに対応するツールパスが検討でき、プログラム時間が最小限に抑えられます。

5軸のツールパスを作成する場合は、あらかじめ工具軸の定義をします。自分で5軸の移動1つ1つを検討しなくても、対話形式にならい2次元や3次元加工と同様の感覚で5軸用の加工パス検討が行えます。

また、加工中にエンドミルなどの切削工具と工具を抑えているホルダが接触するリスクに備えた機能があります。ツールパスをもとにした干渉チェックを行い、途中でホルダが部品と接触することがないよう自動回避して加工検討ができます。

なおマシニングセンタを駆動させるNCデータは、ポストプロセッサでデータ変換を行って作成します。FeatureCAMのポストプロセッサの内容は公開しているため、自社で使っている工作機械にあわせたNCデータが作成できるようにカスタマイズできます。

A軸を使う多軸加工ではCAMが不可欠

3次元形状を加工する場合は、回転軸の定義が必要です。A軸はX軸に対する回転軸であり、複雑な部品を作成する際には欠かせません。ただし、A軸を含む多軸でのツールパス検討は難易度が高いため、対話的に加工条件が定義できるCAMを使うと便利です。CAMの導入を検討する際は、CAMそのものの使いやすさをはじめ、自社で使う工作機械の条件にあったNCデータが作成できるかといったポストプロセッサの条件を確認しておくのがおすすめです。

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