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CAD座標系の基礎知識|座標位置の指示方法と実際の作成手順

最終更新日:2022.08.23 / 公開日:2019.08.26

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かつては、図面作成といえばペンと定規、さまざまな計算を駆使して手で平面図などを作図していました。しかし、現在ではコンピューターソフトであるCADを駆使して、図面作成をすることができるようになっています。さらに、CAMと連携していることから座標情報などを指定することで、NC工作機械の制御データの作成も可能です。そのため、CADを扱うためには座標系の知識は必要不可欠となります。ここでは、座標系の基本的な知識や、座標系の作成方法についてわかりやすく解説します。

CAD座標系に関する基礎知識

座標系とは

座標系というのは、本質的な位置情報ではありません。CAD上におけるデータの位置を固定するためのものであり、測量などの測地系の地理情報システム(GIS)やGPSMAPの緯度経度などで用いられる地球の位置とは、全く異なるものとなります。そのため、CAD上では、任意の幾何学的な原点(0,0)または(0,0,0)を基準として、X座標、Y座標、そしてZ座標の3つの座標でデータの位置を表すようになっています。

それぞれの役割としては、X座標が横方向の情報、Y座標が縦方法の情報となっており、座標系の表記としては、(X,Y)で示されます。そして、Z座標は高さの情報を持っているため3次元の座標で用いられ、表記としては(X,Y,Z)で示されるのです。これらの座標系によって、図面上に距離や長さを設定してコンピュータ上でモデル化したり、工作機械の移動情報や回転情報、そして角度情報などをデータとして定義設定をしたりすることができるようになるのです。

CAD座標系の主な種類

CAD座標系は、使用するCADソフトウェアの種類によって異なる場合があります。ソフトウェアによっては、複数の座標変換が行えるものもあるでしょう。「BricsCAD」というソフトウェアの場合、ユーザー座標系(UCS)とワールド座標系(WCS)という座標系の種類があります。主な違いは以下のとおりです。

・UCS

ユーザー単位で自由に設定できる座標系原点です。ユーザーの任意によって、いくつも設定できるので、その後の工程である加工原点として作成して利用される場合もあります。

・WCS

絶対原点ともいわれる、1つのみの原点となります。移動などの変更は基本的にできないので、何かの基点として用いられることが多いです。

CADの座標位置の指示方法と表し方

座標位置を指示する方法

CADにおいて、座標位置を支持する方法は、使用しているCADのソフトウェアの種類によって異なりますが、主に次のような指示方法があります。

・相対座標
・絶対座標
・デカルト座標
・極座標

通常、ソフトウェアによっては、一つの座標指示方法ではなく複数の座標指示方法から選択できるものも多く、「BricsCAD」の場合は相対座標、絶対座標、デカルト座標の中から、目的に合わせて選択できるようになっています。

「BricsCAD」の座標位置の指示方法

ここでは、「BricsCAD」で採用されている、相対座標・絶対座標・デカルト座標について、解説します。

・相対座標

相対座標とは、特定の任意点を設けて、そこを起点として2点目以降の位置を指定する座標のことをいいます。表し方としては、座標の前にコマンドとして@マークの文字を置くことで入力することが可能です。CAD上では、オブジェクトの作成や移動、コピーペーストを行う場合に使われることの多い座標指示機能です。

・絶対座標

ユーザー定義の座標系を有効にしている場合、先頭にアスタリスク(*)を付けることで、絶対座標(ワールド座標)を入力することができます。例えば、*0.0と入力すると、ワールド座標系の原点を指します。

・デカルト座標

X軸、Y軸、Z軸の3つの直交する軸を使用します。3軸とも座標系の原点を基準点としており、X軸とY軸は水平面を定め、X軸とZ軸もしくはY軸とZ軸は垂直面を定めます。点はYZ、XZ、XY平面までの距離によって定義されており、これらの距離を対象点のXYZ座標と認識することが可能です。
具体的表示方法として、入力はカンマで区切って入力します。例えば、45.5,57.3,60といった具合です。

Z座標は必ずしも入力が必要というわけではなく、省略することが可能です。その場合Zは0として認識され、CAD画面上に投影されます。

座標系の作成方法

CAD上での座標系の作成方法は、CADソフトによって異なります。しかし、大抵のCADの基本的作成方法は類似していることが多い傾向です。さらに、図形や3次元形状などが必要なケースも少なくないでしょう。ここでは、「BricsCAD」や「SolidWorks」というCADソフトウェアでの座標系の作成方法について、簡単に解説します。

座標系の作成方法

  • 1:基準となる位置(原点位置)を指定(クリックなど)します
  • 2:X、Y、Z方向の内の一方向を、2点で指示もしくは、図形や3次元形状(3D形状)などを指示します
  • 3:X、Y、Z方向の内、2で指示しなかった方向を同様の方法で指示します
  • 4:これで座標系の作成が完了です

座標系を覚えてCADを使いこなそう

CADを使いこなすためには、座標系を覚えることが必要不可欠です。座標系の指示方法は、ソフトウェアによって異なっており、アイコンやオプション、メニューなどもソフト単位で全く異なるケースも少なくありません。自分が操作しやすい、ソフトを選ぶようにすると上達も早くなることでしょう。

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