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4軸・5軸加工機とは?CAMの選び方とおすすめのソフトウェア

最終更新日:2022.08.23 / 公開日:2020.02.03

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工作機械を正しく操作するためには、基本についてしっかりと理解する必要があります。中でも座標軸の役割と仕組みを知ることは、精緻な工作品を仕上げるのに欠かせません。立体空間はX軸・Y軸・Z軸の3軸で構成されますが、さらに複数の軸を使いこなすことで作業効率が安定し、より複雑な製品加工が可能です。ここでは、4軸加工機と5軸加工機の基礎知識と、対応するCAMの選び方を解説していきます。

4軸加工機と5軸加工機の基礎知識

加工技術は単純な穴あけから、2軸を使う旋盤などの工作機械を経て、数値管理によるものへと進化してきました。3軸を同時制御する「3次元加工」が当たり前になった時代にあって、次世代型ともいえるのが4軸、5軸などの多軸加工機です。

4軸加工機

4軸加工機とは、3次元空間での加工を可能とする基本のX軸・Y軸・Z軸に、回転軸を1軸付け加えた加工機を指します。3軸制御ができるようになったことで、斜線や円弧の動作での立体的な加工が可能となりました。さらに、1軸が加えられると、より複雑で高度な作業を高速で行なえるようになります。

3軸まではNCフライス盤が使われていました。しかし、現在は工具自動交換機能を備え、異種の作業を同時にこなせる「マシニングセンタ」が主流です。手作業で面替えを行う必要がないため、加工精度は高く精度の高い仕上がりが実現します。4軸加工機の種類や特徴は、製品によってさまざまです。

航空機や自動車、医療業界といった用途に特化した加工用に分化しています。必要となる作業に応じて、多面加工が得意なもの、円筒形や不定形の加工ができる機械など多彩です。

5軸加工機

5軸加工機は、5軸を同時に制御して加工作業を行います。基本のX軸・Y軸・Z軸に、回転傾斜軸を2軸付け加えた加工機を使用。これによって製品の上方向からの加工に加え、前後・左右からの加工が可能となります。「割出5軸加工」は回転軸と傾斜軸を任意の角度で固定しておき、それ以外の3軸で加工を行うことを指しますが、固定さえしてしまえばあらゆる方向からの加工が可能です。

一度の段取りで加工できる部分が多いため、加工時間の短縮や精度向上、またコスト削減にもつなげられます。4軸と比べて1軸多い分、より複雑な形状の加工にも対応できるのが特徴です。

4軸・5軸加工の加工内容とCAMの選び方

4軸・5軸加工機で可能となる加工内容と、対応できるCAMの選び方を見ていきましょう。

4軸・5軸加工でできる加工内容

4軸加工

円筒や円盤形状の側面に対する加工は、単純な加工機では不可能な作業です。従来の工法では曲面であるため、正確な位置に加工を施すことが難しいと考えられてきました。4軸加工機では、こうした複雑な形状の面に対しても、角度割り出しや穴あけ加工、ミーリング加工などが可能です。

円筒にスパイラル形状を施す加工では、ネジ切りのような溝形状のほか、不定ピッチの加工もできます。スクリューやらせん形状、カム形状など、3Dモデルをもとにして不定形状の加工が可能です。

5軸加工

5軸加工機は4軸よりも、さらに複雑形状の部品の加工が可能です。ワークを傾けることによって、多軸を使った突き出しの少ない状態での作業ができるため、放電加工をせずに細部までの加工ができます。多方向からのアプローチが可能なため、工具同士の干渉もありません。ほかの加工機では、実現不可能な異形状のものの加工や、加工面アンダー形状のものでも一度の工程で加工することできます。

CAMの選び方

CAMを選ぶときには、どのような点に注意が必要なのでしょうか。最初に考えておきたいのが、操作のしやすさです。どれほど優れた機能があっても、必要な業務内容に即時対応できないようでは、作業効率が低下してしまいます。シンプルなオペレーションであれば、まだそれほど熟練していないスタッフでもミスのない入力が可能です。

テクノロジーの高度化が進み、より複雑な工程が求められるようになっていく中にあっては、複雑な多軸加工にも対応しているCAMを選ぶことも大切です。今後は4軸、5軸の加工機が主流となっていくことが予測されます。時間とコストの軽減をも視野に入れた選択が求められるでしょう。

多彩なファイル形式の扱いが可能であれば、顧客とのデータや設計に対応でき、やり取りもスムーズになります。求められる多様な種類に対応できる豊富な機能・サポートを備えたCAMを選んでいくことがポイントとなるでしょう。今後の技術の発展をにらみ、拡張性が高いCAMであることも重要です。

将来的な展望をもたず、現状だけで選んでしまうと、すぐに買い替えを迫られる可能性もあります。頻繁に入れ替えをする必要がなく、長く利用できるという点も検討材料にするべきでしょう。1台のCAMで複数の工作機械に対応でき、必要となるNCデータが確実に実施されるものであることは言うまでもありません。

導入後の不明点について、しっかりとサポートしてくれるベンダーもあります。機能だけでなく、人的な面でのサービスが行き届いた製品ならば、安心して使い続けることができます。

「FeatureCAM」を利用した4軸加工の方法

4軸加工機に対応した高機能CAMと、「FeatureCAM」を使って4軸加工を行う方法についてご紹介していきます。

FeatureCAMとは

FeatureCAMでは、加工原点を追加設定することで、簡単に4軸の加工プログラムを作成することができます。さらに、円筒形状に巻き付いた同時4軸加工もチェックひとつで作成することが可能です。これらは標準機能で使用することができます。

FeatureCAMを使った4軸加工の流れ

・巻き付け加工の流れ

  • 1. FeatureCAMで円筒素材を設定します。
  • 2. 円筒素材側面に展開された加工形状を作図、カーブを作成します。
  • 3. カーブに対してポケットなどの加工を定義します。
  • 4. 加工設定画面に巻き付けを行うチェックをONにします。
  • 5. シミュレーションで確認します。

これからのCAMは多軸加工機への対応が決め手

4軸、5軸の加工機は、基本の直線軸に加え、回転軸が追加されることで柔軟な部品加工が可能です。複雑な加工以外には活用されないと思われがちですが、実は汎用ワークであっても多くのメリットが見られます。段取り替えが不要で一度の設定により加工が可能となるため、時間の削減となる点は魅力です。

加えて、加工品質や精度が向上し、また特殊工具や専用治具が不要となるので、コストの節約にもなります。これからのCAMは、こうした多軸加工機に対応できることが前提です。操作が容易で、機能性に富んだCAMであれば、事業への大きな貢献が期待できます。

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