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割り出し加工とは?段取り替えの工数を減らし加工時間とコストを削減

最終更新日:2022.04.21 / 公開日:2022.03.18

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加工軸の少ないNC旋盤などの工作機械の場合、加工工程が多ければ多いほど、材料の固定をし直す必要があるなど手間がかかってしまいます。そのような場合には、5軸加工などの同時加工ができるような工作機械を使用するのが便利です。割り出し加工が必須となってきますが、そもそも割り出し加工とはどのようなものなのでしょうか。ここでは、割り出し加工の基礎知識や、主な工程、そしてメリットなどについて、詳しく解説します。

「割り出し加工の基礎知識」

割り出し加工とは

割り出し加工とは、回転軸を任意の角度に傾けて固定して加工することを言い、アンダーカットなども実現可能です。さまざまな加工方法がありますが、近年では「割り出し5軸加工」などが注目されています。通常の5軸加工との違いは次の通りです。

5軸加工

一般的なマシニングセンタの3次元加工に使用するX軸、Y軸、Z軸に回転軸、傾斜軸を加えた5つの軸で加工を行います。

割り出し5軸加工

回転軸と傾斜軸を任意の角度で回転して位置決めを行い、X軸・Y軸・Z軸の3軸で加工を行います。

なお、XYZ軸、そして回転軸と傾斜軸の5軸全てを同時に動作させて行う加工方法は、「同時5軸加工」と呼ばれており、より複雑な部品などの加工を効率よく高精度に製造に対応することが可能です。

割り出し加工の主な工程

割り出し加工を行う際には、まずオペレーターが確認しやすいようにテーブルの機械姿勢を設定します。加工する形状から、割り出し角度を決定して、直接入力で任意の角度を指定可能です。機械の構造などによっては、2パターンの割り出し角度が出せるケースがあるので、オペレーターが加工部分を確認しやすいように、機械姿勢を確認しましょう。

オペレーター視点での機械姿勢ができあがったら、パス計算前に工具とワークをくわえて、構造体を含めて動きや干渉を確認しておく必要があります。演算を実際に行う前、ストロークチェックにおいて設定した割り出し角度が機械の仕様と合致しているかを確認して加工を開始しましょう。

「割り出し加工のメリット」

多方向から加工できる

割り出し加工では、3軸で同時加工するだけではなく回転軸と傾斜軸という2つの加工軸も事前に定義設定できるので、最適な方向から工具をアプローチさせることができるというメリットがあります。これによって、ワークを段取り替えする工数を削減できるため、その他の軸加工機に比べて、加工時間の短縮やそれによるコスト削減が期待できるでしょう。

その他にも、特殊な工具先端が不要となったり、専用治具が不要になったりすることによるコスト削減も可能となるのです。また、これまで放電加工機を使用しなければ実現不可能だった複雑な加工ができるようになるだけではなく、手で行う工数を減らすことによって加工品質を向上させることが期待できます。

補正しながら加工できる

利便性などについては、割り出し5軸加工に比べると、同時加工のほうが優れていると考えられがちです。しかし、場合によっては必ずしも割り出し5軸加工が劣っているというわけではありません。同時に駆動する軸が多くなってしまうと、相対的に各軸の位置関係は、部材の温度変化、ヘッドと部材の振動、バックラッシュ、そして稼働時間等によって、数ミクロン程度ですが誤差が発生してしまいます。

しかし、精密機械の世界では、この数ミクロンが命取りになることもあるのです。割り出し5軸加工では、各角度ごとに微調整が可能なため、細かく補正しながら加工することができます。これによって、より高精度な加工物を制作可能です。

機械にかかる負荷を軽減できる

同時5軸加工では、数ミクロン程度の誤差が発生しやすいだけではなく、同時に駆動をさせることによって、どうしても機械の剛性が低くなってしまいます。これは、どうしても避けることができません。そのため、剛性の低下を回避するために割り出し5軸加工が活用されるケースが多い傾向です。割り出し5軸加工は、同時5軸加工に比べて、剛性が低下しにくいという特徴があります。

このように、同時5軸加工は全ての部分において、割り出し5軸加工よりも優れているということはありません。機能だけではなく、自社が目的とする工作物の完成精度や機械の合成など、トータル的に判断したうえで、同時5軸加工機ではなく割り出し5軸加工機を選ぶという選択肢もあるのです。

「FeatureCAMを使用した割り出し加工の例」

「FeatureCAM」では、割り出し加工にも対応しており、具体的な加工例としては、局面の加工や立壁の加工などが挙げられます。割り出し加工では、座標系を設定することで、各方向での加工が設定できるようになります。3D形状があれば、座標系を形状から参照して方向を決めることができるでしょう。

さらに、3D形状から穴やポケットなどの自動認識を行うことができるので、短時間で加工を作ることが可能です。なお、CAMであるためポストプロセッサーが搭載されています。CADからツールパスを算出し、シミュレーションを行ったうえでNCプログラムのデータ作成もできます。

「割り出し加工のデータ作成はCAMを活用しよう」

割り出し加工は、割り出し5軸加工とも呼ばれており、XYZの3軸にくわえて、事前に回転軸と傾斜軸を調整しておくことで、より細かな加工を実現することができます。同時5軸加工よりも、高精度で機械自体の剛性も高いため、需要はかなり高いです。割り出し5軸加工を行う際には、割り出し加工に対応したCAMを選択するようにしましょう。

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